作家が、自分が扱う媒体それ自体をテーマにした作品をつくることはあって、それに出会うとわたしはこころがわなわなする。   真心ブラザーズの「拝啓、ジョンレノン」の、神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」の、切実さ。ただ好きなものへの盲目なラブソングではない、「最近の曲なんかもうクソみたいな曲だらけさ!なんて事を君は言う、いつの時代でも」と言う、客観的な眼差し。


フェリーニの「8 1/2」に私たちがめまいを覚えるのは、映画をつくるということを描くということに、フェリーニの人生には必然性があるから。   ターセムの「落下の王国」では、脚が不自由な主人公が物語を紡ぐというストーリーのラストで、サイレントコメディ映画が引用される。ああ監督にとって俳優たちが躍動することは、生きることと同義で、映画が美しいということは、この世界が美しいということと同義なんだ、とおもう。


そうしてこころがわなわなするのです。わなわなする作品があったら、おしえてください。