わたしのクロッキー帳にはガラス瓶詰めの少女が並ぶ

泊まっていた友達が帰るとわたしの世界はまた急激に狭くなって、テレビやラジオだけが外とつながる。画面に映る世界はものすごく広いのに、わたしの煩悩に似たものは全く転がってなくて、わたしの世界はやっぱりまた急激に狭い。いろんなものに跳ね返される、今日の夕日はとてもきれいだとおもったけど、夕日 も わたしに触れたくないですか?    小さい頃は人魚姫がだいすきだった。人魚の絵をたくさん描いた。中学で星新一の本ばかり読んでたときはとてもしあわせだった。高校生になると学校をさぼって東京の映画館にひとりで行っていた、制服の闊歩は爽快だった。「美しすぎる童話を愛読したものは、大人になってから、その童話に復讐される」_寺山修司  いつの間にわたしはずれましたか、みんなとしあわせの価値観を共有してるとおもっていたら、みんなわたしの知らないしあわせもうつくしさもかわいさもいっぱい持ってた      自分から瓶の中に入っているとガラスはただただ透明の壁でしかない  誰かに入れられたなら、ガラスはあなたがわたしを閉じ込めるため眺めるために選んだ、なんて美しい素材だろう、たまには取り出してだっこして、そしてまた閉じ込めて蓋を閉めて、壁じゃない、嫌いになったら割って逃げる