2018-01-01から1年間の記事一覧

大人になっても、夜、あかりを消すと、真っ暗な宇宙に、ぽっかりと脳だけが浮かんでいるような心地になって、心細さに、涙がでる。そうして、「あっ、からだがあった。」と安心して、ほっぺの涙を乾かしながら、眠る。

作家が、自分が扱う媒体それ自体をテーマにした作品をつくることはあって、それに出会うとわたしはこころがわなわなする。 真心ブラザーズの「拝啓、ジョンレノン」の、神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」の、切実さ。ただ好きなものへ…

「雨だって風だって何でも着られるの。」

男の子みたいに髪を短く切っているのに、まつげをくるんと持ち上げたくなる日もある。とても大きい胸にいつもぴちぴちのリブのセーターを着る女の人を見るとちょっと引いてしまうのに、自分だって、寒い日に20デニールのタイツを履きたくなる日もある。 わた…

くやしいことがあって、家路。もし、わたしが、SNSで、痴漢被害やセクハラに関する投稿をしたとして、「おまえにはやらない」「ぶすのくせに」のような返信がきたとしたら、「わたしが歳をとっていても醜くても、女として綺麗か綺麗でないかという土俵に勝手…

わたしのアパートの近所、団地の一階部分の店舗に入った喫茶店。ブレンド一杯250円。おじさんが1人でやっていて、本棚には、バルテュスの画集や、ブラタモリや、風の立野ナウシカ全巻が並ぶ。神棚には、ブルースブラザーズのDVDがお供えしてあって、音楽は、…

このリアーナにとって肉体は、自分自身であり、味方であり、コントロールできるものなんだろうな。わたしにとって肉体は、自分から乖離しているものであり、敵であり、暴走してばかりいるものです。 わたしも、気高い動物のように美しい肉体を、踊るように、…

ミトンのすすめ

この冬に買った手袋は、ふわふわの白いミトン。最近、腹がたって、心の中で中指をたててしまうことがあり、「ああ、いけない」と思ったけれど、「あ、ミトンをつけているから、中指をたてても平気だわ」と、ほっとした。心の中の手にもミトンを着けてあげた…

わがままを言わせてもらうと、年末の紅白で、津軽海峡冬景色を歌う石川さゆりの背景に、北斎の神奈川沖浪裏が使われていて、「津軽なのに…?神奈川…?」と思ってよく見ていると、津軽からは見えるはずのない富士山は消されており、波しぶきは津軽の雪として…

わたしたちのかすがい

夜の武蔵野文庫は、すいていた。焼き林檎を食べながら読んだ本の中では、中島義道が怒っていた。破れた「れもんケーキ」のお品書きが、白熱灯の光で透けて、きれいだった。隣の席では、アパレル店員のお姉さん2人が、店の雰囲気やコーヒーには目もくれず、…