2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

全編にわたってわたしの学校で撮影されていておどろいた。 描きつかれて、売店にでもいこうと外に出る、そのときいつも見る、校舎と青空のコントラストとおんなじ。ときには電車が通る、ときには殺陣が始まる、ときには、昨日までなかったはずの丸太が横たわ…

わたしひいおばあさんがいつもくれた宇津救命丸の味が忘れられなくて、ひいおばあさんが死んでしまってから、よく引き出しのなかを探していました。いまもお菓子のうえのアラザンをみると、あのべろのすきまに入りこむような苦い味が思いだされて、口のなか…

「俺のこと分かってるひと世界中にいない」と言うので、「みんな分かるひといない前提で生きるよ。わたしはあなたのこと分からないし、あなたはわたしのこと分からないよ。でもそうだから、ひとは優しくできるんでしょ?」と言うと、彼は「無償の愛がほしい…

大学の同級生のアル中の男の子とガストで会ったとき、「風邪ひいた」と言うので「お医者さん行った?」と聞くと、彼は「痛み止め飲んだ」と言った。風邪に効くはずもない痛み止めを飲みすぎたためにもたれた胃に、というかそもそもアル中の治療をさぼって昼…

中学生のとき、クラスメイトがリストカットするようになった。腕や腿を傷つけて、写真を撮り、痛々しく包帯を巻きつけての登校。それを見てわたしは「わたしリストカットなんてしなくてもいつも痛いし、することないなー」と思った。わたしはリストカットな…

桃子「だけどわたし、まじで心根が腐っています」

山本直樹の漫画をひとに貸したら、そのひとがわたしに感想を言うときに「情事」という言葉を使っていたので、「なんでそんなおじさんみたいな言葉使うの?」と言ったら「セックスって言えばいいんですか」と言うので、「そうだね」と言ったら、次の日からや…

「好きなバンドよ」 「はい?」 「私も“ザ・スミス”が好き」 この映画を褒めるときに、スミスとか音楽のセンスも良いんだよねとか、サマーのかんじがすごくセンス良くて好きなんだよねとか、あのね、そういう、センスがどうこうとかそういう自意識が先に立っ…

二人で出かけたことのない友だちに「今度ミスドにでも行きましょう」と言われてとてもかわいいと思った。学校帰りや仕事終わりに行こうと言うのではないのだ。空いている日に、予定を合わせて、わざわざミスドに行こうと言うのだ。ミスドにわざわざ行くとは…

女の人は絶望しない。世界のすべてのことなんて知らないから。男の人は絶望してしまう。世界のすべてを知っているから、あるいは知っているような気になるから。知らないから唄える歌があり描ける絵があるように、知っているから、知っているような気になる…

先生はたしかに「胸をよせろ」と言って腕を掴んだのだった。ムルソーが、ラスコーリニコフが、人を殺した日のように、真夏の金色の陽射しが真っ黒い影をつくって地面を焦がしていた。2人以外誰もいないプールの真ん中、アブラゼミの声と運動部の声、入道雲と…

彼は、彼のゴミだらけの部屋の、ロフトに通じるはしごに腰掛けた彼女におもわず、「掃き溜めに降りたった天使みたいだね」と言った。彼はつらくさみしい生活からの救済を、彼女は特別じゃない自分への意味づけを、宙に浮いた「天使」という言葉に見た。二人…

君、竹さんみたいなのが本当の美人なのだ。あの、洗面台の青い電球にぼんやり照らされ、夜明けの直前の奇妙な気配の闇の底に、ひっそりしゃがんで床板を拭いていた時の竹さんは、おそろしいくらい美しかった。負け惜しみを言うわけではないが、あれは、僕だ…

からだの弱い子どもは、「わたしはなんにもできない」という無力感を埋めるために、空想のなかでなんでもできる神様になる。世の中で強いとされているものを身につけるのを夢見て耽る子もいるだろうけど、わたしはそうじゃなくて、世の中の強さの価値観をひ…

女の人は一般論と個別論をないまぜにしてしまいがちで、たぶんわたしにもそういうところが大いにあって、男の人に何度も注意されてきたのですがどうも腑に落ちなかったのが、ストンと急に理解できたのは、バカリズムが24時間テレビの許せない話みたいなコ…

女王の教室というドラマがやっていたのは、検索するとどうやらわたしが高校1年生のときで、特に観ていたわけではないんだけれど、ザッピングしていてぶつかった、最終回の一場面のことを、とてもよく覚えている。ロッテンマイヤー先生みたいなアマミユウキ…

わたしの知ってる、ひとと関わる仕事をしているひとには、ただひとがそう在るその様を認知して感動するひとや、ひとの内面に影響を与えたり、ひとから内面に影響を与えられていることに意味を見出すひとや、ひとと関わっている自身に恍惚としているだけで本…

どうしても自意識や客観視にからめとられてしまう男のひとが、そんなものから解き放たれてピョイピョイ生きてゆく女のひとに魅せられている様をよく見かける。わたしは自分のことを、ピョイピョイ生きてゆく軽さのない、きたない女のひとであると思っていて…

父は森で狩りを 母は家で料理 私は水をくみに 私が大きくなるまで そしてハンサムな夫をもらい 娘ができて その子に水をくみに行かせる 私は家で料理 http://www.youtube.com/watch?v=Ta1mzaqOp4Q もしも将来カバーアルバムを出すことになったら、最後の曲は…

毎日のようにやってくる締めきり、提出期限、もろもろに追われ、睡眠時間が確保できず憔悴しきっているのですが、それでもしなければいけない集中のために、ロッテのラミーをぱくぱく食べていたら、朝起きると手のひらから甘いにおいがするようになってしま…

祖父が死んだとき、悲しいのといっしょに、そもそも祖父という存在はあったのだろうかと考え込んでしまったのは、死んでしまった現在と変わらないくらい、生きていたときの祖父もわたしと別の存在だったということに気づいたからだった わたしたちの孤独なの…

山本直樹の描く女の子のようになれたら、欲望をすいあげて浄化することだってできるんだろうな

「さすわさされるわそらええわ」

帰路、膝下丈のタイトスカートで脚がおおきく開かなくて、ここはアスファルトなのに、まるで雪の上を歩いているみたい、足を、ずぶ、ずぶ、と地面に沈ませるように、のそりのそりと歩いて、ほんとうに雪が積もっていたならきっと、ここでどさとつっぷしても…

そう思うと、i love you が「月がきれいですね」であることを、もっとわかるような気がする。ふたりが絶対的に別の存在であること認めたうえで、それでもなおある世界の圧倒的な美しさを、月のきれいさに託して共有することで、さみしさを噛みしめるような愛…

世界のすべてがいとしい。ガラス張りの校舎に映る真っ青な空。隣の学校から聞こえる、異国の歌。コンクリートの校舎の、地下から立ちのぼる、金槌で石を叩く音。木彫のアトリエから吹く、鼻をむずむずさせるような木の香りの風。高校生のころ、制服でF15号の…

誰でもよいということがわかったからといって、ひとを愛することがうそになってしまったわけではない。わたしたちが桜を眺めるときのように、そのひとの、そう在る奇跡が、ただただ美しくて、うれしくて、そのひとと自分とが絶対的に別の存在であるというさ…

だけどカラオケだけはいとしくない。神様どうかわたしをカラオケからお守りください。カラオケに行かねばいけないくらいなら、お尻を触られるほうがましかもしれません。わたしはカラオケで涙が勝手にぽろぽろと落ちてきたことがあります。「−ちゃんどこいっ…