鈴木清順監督映画のロケ地巡りに、ひとりで鎌倉に出かけた。平日の人のいないお寺をひとりでふらふらしていると知らないおじさんに話かけられます「どこからきたの?高校生?」  山に囲まれた鎌倉ですから、少し脇路に入ったり、お寺境内の隅っこに行ってみたりするといろんなところにハイキングコースがあります。地面が踏み固められた程度の、道と言えるのか微妙なコースは、一歩踏み込むと虫がたくさん飛びあがって、天気の良い今日は真上からの木漏れ日で虫がきらきらひかる。そこにある草はひとりだけ風でひゅんひゅん回ってる、そこは風の通り道でしたか   藤田敏八が何度も行き来した釈迦堂切通し、夢と現 生と死の境としての切通しは、向こう側から冷たい風が吹いて、どこか上の方から水滴がぽたぽた垂れて地面はじっとり湿っていました。 どうしようもなくひとり。  見つけた椿だけわたしのともだち「港の春」