わたしの六畳の部屋の、約一畳分がわずかな絵を描く場所。ジェッソで汚れたカルトンイーゼルに乗って、しおしおの大きいトレペとへなへなの和紙が壁にマスキングテープで不安定に貼っつけてある。イーゼルの後ろにはこの間ドアのポストに勝手に詰め込まれていたアダルトグッズとDVDが封筒に入ったまま置いてある。赤紫色の道具。つっかえ棒には白いブラウスと、変な模様のストールと、緑の水玉のワンピースと、青い長いワンピースと、白い短いワンピースとがぶら下がってる。  わたしの髪は最近目標のもさもさに近づきつつある。もともと量の多い髪が真っ黒で段が無いので余計に重く見える。癖っ毛がゆるいパーマみたいになってきてうねうね。「女の子ものがたり」の深津絵里の髪とか好きだけど、わたしのはやぼったいから、ちがうけど、やぼったいの好きだから 眉毛も細い薄いの嫌いだから、いよいよかわいくない。 わたしは肩こりで頭が痛くなったり気持ち悪くなったりする。いつかデパスとかいう薬をもらったけど、精神安定の効用もある薬らしくて、なめんなと思って一つ飲んでやめてしまったけど、たまに飲みたくなる。  部屋を白熱灯だけにしてベッドで寝っ転がっていると、どうしても友だちがセックスしてることを考える。「アタシ二十歳までに捨てられなかったらどうしよう」とか言っていた友達や、小学生のころからの友達がどんどん付き合いだすもんだから、どうしても考える。考えるわたしのほうが、よっぽど不潔なんだろーか。体内に異物が侵入しても吐き気がしないくらい好きだと思えるおとこのひとと出会ったところ尊敬する。 ふざけるな、わたしのポストに汚らしい封筒をねじ込んだやつはふざけんな、なんか面白くてもう捨てるのがもったいないから、だれか友だちにプレゼントしようと思う。これ、よかったら使ってね   寂しい 対 吐き気