昨日の夜はわたしの好きなグレコマグダラのマリアの画像をパソコンで探して、それを見ながらノートにかき写していた。ぶよぶよしていそうな上ずった目に、顔と首はぐねんとして、ほんの少し開いた口の間から歯が見えている      なんでこうだろう、なんでこうだろう、バイト先の男の人からのメールは顔と猫とキラキラの絵文字がいっぱい。キャンパスナイトフジで女子大生が水着で歩いていて、全身の肌くまなくすべすべにきれいで、なんでだろう。 わたしのメールはほとんど白黒で、たまに現れる絵文字はおばけと、宇宙人と、おむすびと、台風と、天使。    使用済の、コンドームを、つまんで持っている、気分   女も卵子卵子として肉眼で確認できたら、無意味な排卵を実感して、人生違ってたかもしんない     なんでこうだろ。不健全。わたしのうちの、ずいぶんを、理性が占めているので、そろそろ本能ももうちょっとたくさんほしいかな。  壁にマスキングテープで弱々しく貼っつけられたわたしのマグダラのマリアが、白熱灯にぼやんとオレンジに照らされて、影は左斜めに歪んで伸び、ずっと、上を見ている。