渚は白い。夜の闇の中でも渚ははっきりと白いことをわたしは知っている。 夜の空と海は、オレンジ色の電灯に照らされると深い紫になることもわたしは知っている。   「私の男」を読んでいたら、「体の奥で泡が立つ」という表現があった。そうだよねと思って、わたしにも、水をいっぱい含んだスポンジを体の奥で潰されるような感覚がある。   いやらしくなければいやだ。いやらしくなければいやだ。君たちのそれ、赤と青の星模様で、性の解放の安いパフォーマンスみたい。そこには、酸っぱい匂いとお線香の匂いが混ざったようなものは無いにきまってる。   サリンジャーは、死んでしまったから。