バイト先のお兄さんに借りたノルウェイの森を読んでいて、きみたちは、こんなつやつやの赤と緑のカバーに宝物みたいに大事に包まれていていいなあとおもう。わたしの外側にも、きれいな色のつやつやのカバーが付いているだろうか。    坂道発進よりもなによりも、道がまっすぐ走れない。「あなたの課題はハンドル操作だね、もっと道の真ん中を走れるようになったらね、世界は明るくなりますから。」と言う男の先生の指で光る、縄のようなデザインの金色の指輪が、似合っていなくて。わたしは、この寒さで未だに溶けずに残っているがりがりになった雪のかたまりを、自転車ですいすい避けて家に帰るよ。  わたしのカバーはなんの色。