自己PRだのなんだのとやっておりますが、結局わたしは、 東の空に赤い大きな月が昇っていることに気づいたり、つぼみの膨らんだ桜は、木全体が赤く染まることを知っていたり、雪の降った日は世界の影が紺色になることを知っていたり、地面に落ちた椿や山茶花が水たまりでぐずぐずになっている様が美しいことを知っていたり、鎌倉のお寺のアジサイで蜘蛛の子を散らしたときのことをありありと覚えていたり、「金木犀の匂いだね」と言ったり、夏のはじまりの風は食べ物の匂いであることとか、冬のはじまりの風は血の匂いであることとかを知っている、わたしのそういうところが、わたしの中ではいちばんイイネと思っているんです。     捉え方がいいでしょ、というんじゃなく、自然のちょっとしたところに気づけるっていいことだとおもうし、気づいたときはやっぱり生きてるーーと思うんですね   それはたぶん色んな人が持っている感情で、わたしに特別なものではないけど、全員が全員持ってるものではないと思うんですね、だから、持っている人は、それは誇りに思っていいとおもう。