写生

中央線。国分寺から続く、線路とほぼ平行にはしる坂によって町を広く見渡すことができるこの電車が好きですが、今は暗くて、あのケーキの形の建物も見えない。 わたしの前にはルーツアロマブラックを飲みながら考える竹野内豊がある。 わたしは東浩紀を読む。今日、ガラスの廃材をあさっていたときに切った指が痛いけど、ふん、この間、普段着の白いブラウスと、普段着のグレーのズボンに黒い靴と鞄で説明会に行って、落ちた。服装以外が原因ならよい。帰りに、その会場でやっていた宇野アキラの展覧会を見ることができて、わたしはぎりぎり生きながらえた。 そうして生きながらえて、わたしはいま、真っ暗闇を通り過ぎるオレンジ色の閃光の中に座っている。すきなひとの働く町を、いま通り過ぎる。わたしはこれ猫バスくらいロマンチックな乗り物として感じます。ありがたいね、電車。ありがたい、西武園の花火。ありがたい、向かいの席で口をちゅうちゅう鳴らすおじさん。わたしを生かしてくれるもの。