思えばひりひりしているのはいつもこの季節かもしれない。たぶん、空間デザインの学生たちの大がかりなゼミが、毎年この時期あるのだ。わたしが絵を描く棟は、夜、そのゼミの会場になる。吹き抜けのある大きなその棟の電気はすべて消されて、ある年は5階からたらされた大きな布に青白いライトがあてられ、ある年はコンクリートの壁を流れ星みたいに黄色い光線がはしった。4階のわたしは、いつもその気配をかんじるとアトリエをでて、吹き抜けを覗き込む。この季節の涼しい風と一緒に、建物の下の方から、わたしの顔を青や黄色にぼんやり照らしながら、匂うみたいに、立ちあがる音楽に、わたしはいつもヤられちゃって、ひりひりする。ここからポロッと涙を落としてゼミ生の頭をちょっぴり濡らしてやろうか?と思う。