真珠のネックレスをして、チェックの半ズボンを履いたおばさん。フクシアピンク色のシャツを着て、しゃがみこみながら自分のリーゼントを手鏡で眺める60歳くらいのおじさん。  新宿を歩いていたらどの人だって、トーマスルフのポートレートみたいに、浮き上がってくる。
夫が“びみょう”と思われている女の人のことを考える。まきようこ?ひらつからいてう? ここで“びみょう”と思われるのは、夫が女の人に比べて評価を受けていなかったり、地位がなかったり、権力を持っていなかったりするからだ。    だけれども、逆の場合はまたちがう。妻が“びみょう”と思われている男の人に向けられる視線は、「きみのような男がなぜ若くもない、美人でもないこの女を妻に?」なんとかかんとか、妻の若さや美しさを理由にしたものだろう。      ひとがひとをけっこう自然にさげすむときの、理由がちょっとちがう。