お互いを「いかしてるぜ」とおもっていた高校生のあのころ、なかよしの5人、うちの1人の女の子がナンパされたとき渡された電話番号に、5人で中国人のふりをして教室から電話をかけた。けらけら笑って電話番号はそのへんに捨てた。        大人になると、どんな仕事してるの、まだ仕事してないの、どんなひとと付き合ってるの、付き合ってるひといないの、とか、背景がいっぱい浮き上がってくるけれど、それでも、1人の胸の大きさと、1人の肌の白さと、1人のその表参道で巻いたという髪の毛と、1人の脚の細さと、1人のマスカラのしっかり塗られた下睫毛くらいは、無条件に「いかしてるぜ」と、5人ともがおもっていたらいいなとおもう。