わたしが、頭が悪い、とか、尊敬できない、と思う人に好かれたり同情されたりすると、わたしは嫌な気分になる。それは、あなたなんかに分かるようなわたしじゃないですけど、と思うからだ。たとえばわたしが「寂しい」と言ったときに「そうだよね、寂しいよね」と安易に言われたら、わたしの「寂しい」とあなたの「寂しい」の概念が同じになる。言葉で括られて意味が同じになる。わたしの、この複雑であるはずの寂しさが、よくわかんないあなたの寂しさとおんなじみたいになっちゃう。   わけのわからない人に好かれることは、わけのわからない人に嫌われることよりもずっと歯痒くて、憤る