例の吐き気

わたしには小さいときから、何の言葉に当てはまるのかわからない気持ちがある。 その気持ちは、プールの授業の更衣室、クラスの女の子たちの喧騒の中で、てるてるぼうずみたいなタオルの下の自分の裸を見たときに巻き起こる。 小さいころからの友だちが彼氏の家に泊まりに行った話を聞いて、気持ち悪い想像をしたときにも渦巻く。 幼稚園のとき、薄緑色の廊下で、枯れ葉と泥と髪の毛が雨水でぐちゃぐちゃになったものを裸足で踏んづけてしまったとき(それはもしかしたら夢の中の出来事だったかもしれない)の気持ちにも似ている。 胸がむせぶような、食べ物の逆流しない吐き気、悲しさと、皮膚感覚の思い出と、ごめんなさいと謝りたくなるような不潔な罪悪感。 的確な言葉はどこにもないけど、この気持ちが起こったとき、あ あの気持ちだと自分では確かに認識できる。気持ちと言うと精神的になるけど、もっと身体的な、明確な感覚としてある。 いろいろ調べていたらそれはアナロジーだとか出てきたけど、そうなんだろうか。ほんとうにあの気持ちには“さいなまれる”という感じで、つらい