今やっているバイトの関係で、駅前でビラ配りをしなくちゃいけないときがある。ビラ配りってなんだか派手な人がやっていることが多いけど、わたしは違うんで、不憫さを兼ね備えて、マッチ売り的。一番もらってくれないのはおねえさん、おにいさんとおばさんは同じくらいで、おじさんが一番もらってくれる。今日はジャックバウアーそっくりなおじさんに渡しました。適当にほいほい差しのべても受け取ってくれないから、かなり距離のある時点ひとりの人に目星をつけて、近づいてきたら、「すみません」と言って「お願いします」と言う。なんでわたしは夏休みに、ビラ配りのハウツーを身に付けているんだろう。バイトの帰りにいまかわいいとおもってーおちゃしませんかと言われた。世間的な目線で考えるならばきっと全然格好良くない。宗教の勧誘かと思わせる風貌。きみは自信があるなぁー、わたしは自分がかわいくないことをちゃんと分かっているからこんなにきっちり小さくしてる。わたしみたいなタイプなら「キモイ」とか罵倒されずに済むだろうと予想したの。不快。昔ぜったい美人だったろうなあと思う、今もとっても綺麗なおばあちゃんと一緒に仕事をしたきれいな一日が一気に不快になった。帰りの電車で太宰治の女生徒を読み終わった。全然珍しくもないわたしは見透かされている。最後の文は、
『おやすみなさい。私は、王子様のいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか? もう、ふたたびお目にかかれません。』