向かいのガールズバーでは、お客みんながレイちゃんにハッピーバースデーを歌っていた。  今わたしは誰もいない部屋でひとり寝ころんでいるけど、鳥の声がするから、世界と関わっているだろう。昨日は、今年初めてのウグイスを、聞いたし。 大好きだった人のいる町から遠く離れて、わたしは今別の男の人といつも一緒に過ごしている。それは誰にも内緒にしているけど、わたしはそれに伴って、どこかで聞いたことのあるような表現乏しい感情を持ち腐っているから、これはどうもわたしも世界の一員だ。  急激に、世界と近くなっている気がする。それは就活が近いからとか、そんな陳腐なことが起因だったら興ざめだけど。世界が近い。わたしはまだ当分、世界との間に壁を作り続けるつもりだったんだけど。隣の部屋の暖房の唸る音がする