「ご冥福をお祈りします」という言葉があんまりにも身体に合わないんだけど、他に良い言葉はないんだろうか。「ご愁傷さまです」もちがうし、「お悔やみ申し上げます」も違う。    いちばん使われているのは「ご冥福をお祈りします」なわけだけど、この言葉を使うとき、使っているその人の気分はほんとうに“ご冥福”を“祈って”いるのか?もっと自然に、ただただ目の前の死を悲しんでいるときに、急に死後の世界みたいな話になっちゃって、なんだかおかしい。人の死を感じて、まっさきに「あぁ冥土でどうぞ幸せに・・」なんて切実に思う人ってほとんどいないだろう。      「わたしたちは悲しみでいっぱいです。ご本人、ご遺族の悲しみは、わたしたちのこんなものとは比べ物にならない、わたしたちには想像すらできていないほどのものだろうということも、思います、思う、この想像もまた足りていないかもしれないとも、また、思います。しかし、とにかく日々考え、考え、悲しみでいっぱいだということ。一度も会ったことのないたくさんの人たちに降りかかったできごとのことを思い、わたしたちも悲しみでいっぱいだということを、今はただお伝えしたいばかりです。」  というようなニュアンスが、遠くのたくさんの人たちの死を目の当たりにしたときに、まっさきに、素直に浮かぶ気持ちじゃなかろーか。    それを、端的に表す日本語って、あったっけ。    公で使う言葉として定着しているし、便利なんだろう、「ご冥福をお祈りします」という文字に、わたしの思ったような、素直な気持ちを乗せているのかもしれない。 でも日本語、もうちょっといいやつ見つかったらいいなぁと、いろんな企業から届くメールを見て、思う日々です。