ホームで、わたしのすぐそばにいた障害のある男の人が、おじぎをするように頭を大きく降り続けて、わたしはちょっと、怖いと思ってしまった。 怖いと思ってしまった自分がいやだった。 高校生の男の子たちは、その様子をずっとiphoneで撮影していた。それもいやだった。 空調を止めている電車の中は、窓を開けていても意外と風が入ってこなくて、暑い。もっと風を入るようにするには、どの窓を開けたらいいんだろう。 ハリーポッターにでてきたトロールに似た大学生が、立川の強盗について話していて、「でも昔あったよね、あの、5億円事件」と言っていた。 暑いのにわたしはスーツを着ていて、暑くて暑くてたまらないから、壊れた身体から、シャツに、少し血が染みてしまった。 電車に乗っていると描写をしたくなるのはわたしだけではないはず。こないだは、ブロードキャスターの司会だったおじさんと、冨永愛と、エスパー伊東に似た人が、並んで座っていたんだ。 暑くて、身体がどんどん肉になって、今世界でいちばん汚いのはわたしだ、という気持ちでいっぱいになる。