お父さんとお母さんの間にうみちゃんという新しい子が生まれ、わたしのことを二人が忘れてしまった。わたしは家の周りを歩いたり走ったりしてみたけど、見たことのない看板が、近所の靴屋の壁面に三つくっつけてあったりして、そこはもうなんの懐かしさもないただの町で、ふるさとではなくなっていた。帰る場所がなくなった。わたしは泣きながら公園に立ちつくした。うみちゃんが憎い、うみちゃんって、自分の妹なのに、名前がどういう字なのかも知らない、うみちゃんもうしゃべっていたし、生まれてからしばらくたっているだろうのに・・ ああ、ひとりで生きていかなければいけないんだ と思った。