健在

わたしは高校を推薦で合格して、それからというもの中学卒業まで、友だちのひとりの女の子といっしょにテニスと鉄棒と尺八に明け暮れていた。
ふたりはテニスが大好きだったから、授業でダブルスを組んだ。テニスの上手な女の子たちと対戦してみるのだけど、いつも対戦相手の女の子たちがわたしたちの下手さにドンマーイとイラついていることが伝わってきた。放課後も練習していると、事務員のおじさんが、掃除してるとたくさん出てくると言って、テニスボールをくれた。
わたしは鉄棒が上手だったけど、友だちの女の子が鉄棒を下手だったから、わたしが先生になって、鉄棒を回り続けてた。おへその下から骨盤まわりにかけてが、わたしは青くなり、友だちの女の子は青を通り越して緑色になり、最後は茶色になった、それを見せ合った。
友だちの女の子がなぜか尺八を吹けたから、わたしは教わっていた。山を削ってできた住宅街の、その間にある長い階段に座ってふたりで吹いていた。そうしたら近くの公園から、同級生の、白くて、声がやけにかわいくて、でもあんまりかわいくないかなと思う女の子と、かっこいいような気がするけど、よく見たら顔が大きいし、お母さんがヤンキーだし、そういえば卓球部の男の子の声が聞こえてきた。わたしは、ひとつ年下の卓球部の男の子たちに囲まれて、笑われたことがある、なんという、屈辱なのだ。 女の子と男の子が楽しそうにベンチでしゃべっていたから、わたしたちは、階段の隅の花壇にあった、畑で小さなビニールのドームを作るときに使うような緑色の長い針金を土から引っこ抜き、公園に向かって投げ入れて逃げた。
裏表に色のついた折り紙の、青色の裏が山吹色なのは、夕方の青い空に山吹色の月が浮かぶさまを、あらわしているのかな? バスの窓から見える景色がすべてうつくしくて泣きながら帰ってきた。わたし、22歳だってさ