2ヶ100円で買った紅芯大根を切り、そのうつくしい断面に「マーァきれい」と声を出す。きれいと言ったが、中心のその紅ってところが大根の繊維にそって放射状になっていて、よく見たら気持ち悪い。台所で息が白い。ぶつんぶつんと切る。ぶつんぶつんと切って、そのまま腕まで切っては、自殺サークルだか紀子の食卓だかのようになれるのだけど、わたしはその大根で、漬物を作るのだ。漬物。嫌だ、嫌だ、わたしは、ロハスが嫌いだ、口に出すのも嫌だ、クウネルも嫌、本屋に行けばほんとうは装えんを見たい気持ちがあるけれど、それも、嫌だ。  ひさびさに高校のころの同級生十数人に会い、仲のよかったかわいい女の子たちが今や昔の彼氏の話をわあわあとするのを見て、こころなかで、「びっち」と言った。ひらがなで言うのが、精一杯、せいぜい、漬物つけてなさいよ、わたしは