女らしさ傍観

真っ黒毛をまっすぐにして伸ばすつもりだったが、肌が弱い人は出来ませんといわれて、けっこう悲しかったが、しかたなく、いつものようにブツンブツンと切られ始めた。わたしは、中江兆民の本がほしい。あれは、酔った三人のやつじゃなくて、一年半みたいなタイトルのやつだ。この美容院の帰りに寄れる古本屋は、駅前の小さいあそこと、公園のとなりのブックセンターいとう。鏡を見たら、髪の毛は、ミル姉みたいになっていた。ミル姉か、あるいは、若いときの桃井かおりだけど、ミル姉は桃井かおりの真似をしてるんだから、中江兆民、どっちでもいい、鏡にうつった、顔が不細工で腹が立つ。男の人に、罵倒されて、泣いても、次の瞬間、明日からつくりはじめるもののことを考えれば、もうこんな男の人に、会いたくもない。だけど、黒い、サンダルがほしい