ひとさし指ですこし押されたら、いつでも倒れられるわ、わたし  朝、カーテンの隙間から射すひかりをたよりにつけた頬紅の、染まった頬に涙がひとすじたれて、桜色の真ん中に道ができる  なんておいしいお茶かな。家族で行った、那須の旅館で、みんなで飲んだお茶みたいだな。  東京で、わたし、この部屋にひとりだから、頬紅をつけて泣くわたしを、自分で説明してあげないと、消えてしまいそうで。