要は、近代美術館で永井荷風の濹東綺譚の挿絵を見たのです。狭い部屋のなかで「一緒にしあわせになりたいワ」とばかりに見返る娼婦と、そんな視線には気づいていませんよとくつろぐポーズの男のひと。それで、わたしは、「所帯なんか、もちたくない」と思うのは、男のひとばっかりじゃない、と少しムカムカしていたのです、この逆だってあり得るのに、この逆を描いた小説や映画は見たことない気がするなと。  だけど早くお母さんになりたい、良い人と結婚したいからこないだの人とはさっさと別れた、という友だちの女のつよさとか、すがすがしいのをみたら、自分がどうにも気持ち悪いおんなのような気がしてたまらなくなったのです。要は。