夜8時半のスーパーで長渕が流れていた。スーパーに特有の、あの安っぽいサックスみたいな音色じゃなくて、歌声で。長渕の歌をバックに、ひとりで買い物をするおじさんを見ていると、なんともいえない物語が発生して、わたしは感動しちゃうワといった気分だった。ヘッヘーという長渕に似た笑いを浮かべながら半額になったがんもどきをカゴにつっこんでいるおじさんの、額のよごれた汗は、ギラリと銀色に光りそうであった。一挙手一投足がなんとも有意義であった。     スーパーの音楽ですら人の心を躍らせるんだから、新宿のLABIの持っている力といったらハンパないのである。LABIはそういう認識あるのかなーといつもあそこを歩いていて思う。あそこの電光掲示板の光と、靖国通りを包む音楽には、すごい力がある。   地震のときあそこに映ったNHKの登坂アナ、その恐ろしい被害を伝える声が、ひとびとの足取りをどんどん重たくさせて、みんな、立ち止まっていた。    なんかよくわかんない、つまんない音楽が流れてることが多いけど、この間西武新宿駅の階段を下りた正面の、たばこくさいところで立ちつくして想像したら、all you need is love とか流れていたらイイナー!10人中3人くらい小躍りしちゃうだろうなとおもいました。