高校生のとき、夜、玄関の前で道を聞いてきた男の子に、腕を強く掴まれて体をさわられた、遠くから仲間が笑う声がして、あれの最悪だったのは、最後に男の子が申し訳なさそうな顔をして「ごめんね」と言ったこと。わたしをモノとして扱いきらなかったこと。ひとをモノとして扱っていることへの罪悪感に耐えかねたのか知らないが、最後にわたしをひとに引き上げてしまった。わたしはモノじゃなくてひととして汚れてしまったので、とても気持ちがわるかった。