若者が書いた苦しい小説を読みながら、銀行でわたしの通帳ができあがるのを待っていた。わたしが息をしてわたしの胸が膨らむのがわかる。登場人物たちはくるしそうに潮風を吸っている。でも、わたしの後ろでは「お客さまー、傘をお忘れです」って銀行員のおじさんがおばさんに駆け寄るから、ああこっちは大丈夫。これも美。 暑い。日傘か