中学生のとき、クラスメイトがリストカットするようになった。腕や腿を傷つけて、写真を撮り、痛々しく包帯を巻きつけての登校。それを見てわたしは「わたしリストカットなんてしなくてもいつも痛いし、することないなー」と思った。わたしはリストカットなんてせずともいつだって体のどこかが痛んでいて、生きている実感をいやなくらい得られていたし、大人からの心配は欲さずとも得られた。わたしは彼女の衝動を知らない。自分で自分を傷つける自由を有して動き回る彼女が、少し羨ましかった。わたしにはじっと静かに生きる選択肢しかなかった。「わたしはあらかじめ罰を受けているんだ。」と思った。